本講義をとおして履修生は、冷終後に頻発するようになった内戦・民族紛争に対して、国際社会が対応するために生起した平和構築の理論と実践、さらには現在の複雑化・分極化・多極化する国際情勢を踏まえた展開をより体系的に学習する。平和構築論の学際的・多面的・多層的な特性を踏まえ、本コースは、①導入:平和構築の理論的背景と展開の基礎、②課題からみる平和構築(武装解除・治安セクター改革、国家建設と民主化、移行期正義・和解、社会経済開発)、③アクターからみる平和構築(国連の役割、市民社会の役割)、④国からみる平和構築(内的自決・自治の事例・フィリピン・ミンダナオ、外的自決・独立の事例・南スーダン、西側主導の「国家建設」の事例・アフガニスタン)、⑤冷戦後・平和構築からの展開(国際テロ・暴力的過激主義対策、複雑化・分極化する国際情勢に対する新たな挑戦)から構成されている。こうした複眼的視点からアプローチし、冷戦後に優勢だったリベラルな規範に基づく平和構築が変容していることを示し、現代の国際秩序への新たな挑戦を踏まえた国際平和論をもとに平和のあり方を思考するための視座を提供する。
 本コースは、課題の予習を前提とし、授業では講義とアクティブラーニングによる学生の参加(ディスカッションやグループワークなど)によって実施される。